店主の原田様は九州ご出身、自動車産業の関係もあってお店のある三河地方には九州出身の方も多い。「愛知には九州久留米のほんもののとんこつが無い」という周りの方々の声から思いを募らせてみえた店主、共感した店長との出会いもあり出店をご決断され、ホームページより看板のお問合せをいただきました。
はじめてのご出店ということもあり詳しく事情をお伺いさせていただき、原田様の熱い思いととんこつラーメンへの強いこだわりを知ることとなりました。久留米伝統の呼び戻しスープの製法から味が染み出す低加水麺について、一般的なラーメン店との違いを詳しく教えていただきました。
そこでそのこだわりと思いが一人でも多くの地元の方に伝わるように筆文字でのロゴ制作から看板のプランニング・デザイン、店内ポスターやショップカード、メニューデザインなどトータルにてご提案させていただくことになりました。
居抜き物件で広くは無い間口、そして駐車場があるために奥まっている立地。前の車道は多くの車が通りますが、かなり目立つようにしなかれば認知されない状況でした。既存の看板台座を生かしながら、ブランドカラーをオレンジで統一し、バナー幕にて訴求すべく内容を表示しました。メインサインの造形文字は弊社オリジナルのもので、筆文字にはぴったり、一般的な立体文字より3次元的表現によりその魅力を増すことができます。スチロールを原型にし、ガラス繊維と樹脂を積層、磨き後塗装して仕上げます。FRP技術を応用した軽くて丈夫な造形文字です。
のれんまでも一般的な布状ものにしてしまうと狭い間口がより閉鎖的になって入店しずらくなるため、検討の上、ラーメンを持った箸の造形のれんをデザインいたしました。強いキャッチコピーながらも店内も見え、ユーモアのあるのれんで親しみやすさをアピールしています。造形のれんは弊社も製作したことは無かったのでロープをいくつかの樹脂でコーティングして適切なコシが出る種類と調合を試験しました。そして可動性がありながらもうねりを保持できる程よい配合と質感を再現しました。箸は木材を加工し、撮影スポットになることを見越して手彫りでロゴを刻印しています。輪切りのネギもハニカム状のプラスチックを熱加工して着色、リアルな質感に仕上げました。
開店まもなく、昼間に夜の分のスープが売り切れてしまう日があるほど人気となり、嬉しい悲鳴をすぐにご報告いただけました。その後もSNS等でラーメン通の皆様にもその美味しさが知れ渡り、情報誌ラーメンWalker東海2015ではわずか半年の期間に関わらず新店部門で5位にランクインされました。
当初は他に広告をしていなかったようですので看板効果があったのではないかと思います。こちらのデザインはサインデザインのSDA賞で入賞、地区奨励賞をいただけました。特に大掛かりな施工でも無いところを、店主の思い、本質的魅力を表現できたのではないかと大変嬉しくありがたいばかりです。