中部レキセイ様は愛知県春日井市にて防水・塗装工事をされています。ご尊父様より事業継承をされた 女性の古川社長よりホームページ経由でご相談を賜りました。看板設置前は建物外壁、歩道壁面共に真っ白な状態でした。工務店等からの請負工事だけでなく新たに一般の方へも事業を展開される事も含めて、工事業というどちらかといえば地味なイメージから脱し、ご近所や社員の皆様にとっても見ると癒されるような自然で明るい看板をご要望いただきました。そして社長ご自身も色々とご苦労されていたご事情をお聴かせいただくことができ、大先輩ながらも同じ女性として共感できるものがあり、なんとか力づけになれるようご要望にお応えしたく進めていきました。
お話をお伺いして浮かんできたのはジブリの背景画のイメージでした。 10Mの横長の壁には、原生林から花畑に続く空間を仮の写真合成にてご提案してご承認いただいた後に水彩画を描きました。 ここまで大きくなる絵を描くのは経験がありませんでしたが、6分の1程の画用紙に描き、拡大印刷をする方法を採用することにしました。CGでは出せないぬくもりやあたたかみがご要望にもあった人に光を与えることにつながると考えたためです。何倍にも大きくなるため、細かな部分は1mmにも満たないラインで色をいれていき時間をかけて仕上げていきました。
建物の看板の方は、風景は水彩ですが、建物や小人、文字はCGによりデザインしています。 ご要望からご提案と打合せを重ね、かわいらしい小人が建物をペイントしている様子を絵にいたしました。 窓部分は直接フィルムを貼って採光や開閉できるまま絵柄が合うようにしています。
建物側はタイル素材でしたので薄いパネルを取り付けた上で、インクジェット出力シートを現地で貼っています。 歩道の壁面は凹凸やゆがみのあるブロック塀でしたのでアルミの骨枠とパネルでできた看板を取り付けてから現地でシートを貼って仕上げています。デザインデータは途中2ギガという非常に重たいものとなりましたが、調整をしテスト出力も行い、解像度や色を何箇所かで確認した上で本番印刷をしています。
右下の社名表札は入り口の横に設置される幅70cm程のものです。一般的にこういった金属の腐食銘版は黒色などが使われることが多いですが他のイメージとも統一して水色を使用しています。金色部分は素材の真鍮になり薬品で腐食させることでわずかに凹み模様が現れるというエッチングを採用しています。品位を持ちながらも明るく個性的な社名表札になりました。
本プロジェクトは諸事情が重なって、何度か中断もあり、お問合せからお引渡しまで2年がかりとなりました。 その間でも古川社長には真摯にご対応いただき、実現させていただきましたこと大変ありがたく お心遣いと未来への思いには敬意を表します。また、個人的にも愛してやまない屋久島での体験も ビジュアルに生かせたことも加わりとてもエネルギーの強い看板となったと思います。 施工後に拝見した社長の笑顔は非常に美しく、心に刻まれ、やりきって良かったと深く感動いたしました。 言葉にしきれない古川社長の思いがひとりでも多くの人に伝わり、事業も発展にもつながりますこと引き続き願って止みません。本当にありがとうございました。